既存金融市場のリスクに影響される暗号資産市場:ブレグジット動向には要注意

暗号資産相場はポンド下落に追随か

今週は、米連邦公開市場委員会(FOMC)や英議会下院での欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を巡る合意案採決という2大イベントがあった。

米時間19日〜20日に開催されたFOMCでは、2019年の利上げ回数予想が前回の2回からゼロに引き下げられ、ハト派色の鮮明化が大きなサプライズとなった。

ブレグジットを巡っては、21日にEU側が離脱の2週間延期を提案し、メイ首相がこれを受諾したことで、今月29日に「合意なき離脱」が決断される可能性は回避された。しかし、メイ首相に与えられた時間的猶予は短い。英議会は今月中にも離脱合意案を可決させなければ、メイ首相は4月12日に合意なき離脱か、さらなる延期をEU側に申し入れるかを決断しなければならず、政治的混乱の解消からは依然ほど遠いと言える。

こうしたイベントに今週のドル、ポンド、および株式相場は大きく左右され、暗号資産の相場もある程度影響を受けたようだ。特に、21日の相場はポンドの下落に追随するような値動きをみせ、リスクオフの動きが暗号資産市場にも波及したことが指摘される。

21日のBTC、ETH、XRPの対ドル相場は前日比でそれぞれ-1.43%、-2.92%、-2.18となり、本日も上値の重い展開となっている。

失われつつある「独立性」

キプロス金融危機やギリシャ債務問題、さらに昨年3月に起きたイタリア政治の混迷など、リスクオフシナリオが発生した際は、一時的ながらBTCの価格が上昇する現象が今まで確認されてきた。こうしたことから暗号資産市場は既存金融市場からある一定の独立性を有すると指摘されてきたが、ここ半年ほどはその「独立性」も低下している模様だ。

事実、昨年10月に世界同時株安が発生した際は、BTCなどの主要暗号資産の相場は株価に追随するように下落した。

こうした背景には、先日指摘したテクニカル的なトレンドの性質と暗号資産への関心度低下があると考察される。昨年10月には、BTCのヒストリカル・ボラティリティー(HV)が記録的な低水準となり、相場は大きな三角保ち合いを形成し、先行きを予測しづらい展開となっていた(第1図)。当時、BTCは底値圏で推移していると予想する声が多く見られたが、結果的にBTCは3200ドル付近まで安値を広げた。

足元のBTC対ドル相場も、長期下降トレンドから方向感を欠く展開でHVは著しく低下しており、昨年11月の急落前の市況と類似している。こうした展開では、市場に新たなマネーを呼び込むことは難しい上、リスク逃避での需要は伸びにくいだろうと考察される。

主要暗号資産の相場は引き続き方向感を示せない展開が続くと予想されるが、ブレグジット動向には十分に注意したい。

【第1図:BTC対ドルチャート】

出所:coinmarketcapより作成


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引用元: ビットコインニュース

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