カテゴリー別アーカイブ: イーサリアム

イーサリアムのテストネットフォークでコンセンサスバグにより分裂

イーサリアムはコンスタンティノープルのテストを行うために、テストネットのロプステンのブロック #4,230,000でハードフォークを実施。メインネットと違い、ブロックタイムが15秒より早く、予定の2日前にブロックに達したものの、トラブルが発生しています。

1.ロプステンのコンスタンティノープル実装完了

予定では#4,300,000でのフォーク予定であったものの、テストネットであったためか、クライアントのアップデートをしていなかったことが原因で、430万ブロックがマイニングされないというトラブルに見舞われました。イーサリアムクライアントのひとつで、JavaのHarmoneyはフォークできたものの、GethとParityではブロック到達の2時間後にフォークが行われました。

 

 

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2.コンセンサスバグによるロプステン分裂

有志によるテストネットでのマイニング開始後、ParityとGethでのチェーン分裂が報告。4,230,600ブロックから約300ブロックほどの差が見られ、両クライアント間でのコンセンサスバグと見られるフォークが確認されました。

またHarmoneyは先にフォークしたものの、コンスタンティノープルの有効なブロックはマイニングされていなかったことから、各クライアント間でのフォークが発生したことになります。イーサリアムは過去に4度目のハードフォークSuprious Dragonで空のアカウント消去時にGethとParityがフォークした経験を持ちます。この際はメインネットであったため、マイナーは750ETHものマイニング報酬を失うという結果に終わりました。

現在デベロッパーは原因を探っており、過去の例を見ると、どれかひとつのクライアントチェーンに合わせると見られます。

イーサリアムがコンセンサスバグによりフォークし分岐

3.Etherscanでのブロック報酬表記バグ

EtherscanではコンスタンティノープルでEIP-1234が実装されているにもかかわらず、マイニング報酬がビザンチウムと同様の3ETHで表示されており、EIP-1234が適応されていないという報告がありました。

ですが、実際のトランザクションでは2ETHになっており、Etherscan側の表示バグであったため、日本時間4時にはこのバグは修正され現在は2ETHと表記されています。

 

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EIP-1234については下記を参照してください。

イーサリアムのマイニング報酬を2ETHに減少するEIP-1234と開発の今後

 

4.結論と考察

今回のバグはテストを行うためのテストネット上での問題であり、ETH自体には影響はありません。また今回の原因となったマイナーのアップデートミスですが、メインネットではハッシュレートが充分に分散されており、マイニングしたブロックが無効になることから移行インセンティブが働くため、同様のことは起こる可能性はないでしょう。

今回のバグにより、不測の時間を取られることから、コンスタンティノープルのメインネットフォークは実際の予定より遅れることになると思われます。

 

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引用元: イーサリアム・ジャパン

コンスタンティノープルテストネットブロック決定とProgPoWの進行

イーサリアムは年末にコンスタンティノープルフォークを控え、前回のコアデベロッパー会議で決まっていた10月9日のテストネット”ロプステン”のハードフォークを今回の会議で決定しました。本稿では、イーサリアムの大型アップデートに関する最新情報について記述します。

 

 

1.メジャークライアントのコンスタンティノープルテスト準備完了

イーサリアムのメジャークライアントであるGeth、Parity、cpp-ethereum(aleth)、ethereumJは全てのEIP実装を終え、新規クライアントのMana、Nethermindも同様に実装を終えているため、予定通りとなっています。7割のクライアントが実装を終えたことで、テストネットのロプステンをハードフォークし、コンスタンティノープルの実装テストへ移行します。

今回の会議で10月9日にフォークするために、ブロックナンバーを#4,200,000と決定。ただし、ハッシュレートにより安定しているメインネットと違い、テストネットはブロック時間平均が安定していないため、実際には前後すると考えられます。

また会議ではGethの新バージョンを2週間以内にリリース予定です。

 

出典:https://github.com/ethereum/pm/issues/53

 

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2.EIP-1108

今回の会議では、既に実装されている5つのEIPとは別に、OPCODEの0x06 ECADDと0x07のECMUL、0x08のペアリングチェックのガスコストを減少するEIP-1108について話合われました。

実装事態は賛成であり、このようなコスト削減はハードフォークが必要となる一方、デベロッパーは安全な実装を子なうための「テストが最もと重要である」とし、

 

「例え小さな変更であっても、大きなプレッシャーとなる。今回の場合は次のフォーク(イスタンブール)で行うほうが良い」

 

との意見があり、現状のタイムスケジュールからもテスト1つで2~3ヶ月を有するため、次回のフォークへと追加されると見られます。

 

3.ProgPoWの実装

今回の会議では再度ProgPoWについて話合われています。コアデベロッパーはSharding+Casperのeth2.0に開発の重点を置いており、ProgPoWの導入にはあまり積極的ではありません。

 

3-1.イーサリアムがProgPoWを必要とする理由

イーサリアムは現在、Dagger-hasimotoの改良版となるEthashをマイニングのアルゴリズムに使用しています。ですが、EIP-186に計画される今後のマイニング報酬の減少、つまりここでいうEIP-1234からBitmainのASIC Antminer E3による中央集権化や、BitmainのイーサリアムASICマイニングによる中央集権化問題が存在します。

実際に、収益のマイナス化により電気代の高い地域からマイナーが撤退しており、PoWで最も重要なハッシュレートパワーと分散という面において、Casper移行までにセキュリティ低下が考えられます。そのため、対策となるEIP-1057 ProgPoWが提案されており、マイナー間で盛んに議論されています。

 

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3-2.EIP-1057 ASIC対策の実装

今回の会議では、ProgPowを開発するifdefelseからMiss. IfとMr. Defをゲストとしてリサーチ情報を共有しています。

CPU検証でスローダウンするバグの修正などのマイナーアップデートとGethとcpp-ethereum(以下C++とする)への実装の完了を報告し、現在のコアデベロッパーの興味が得られないことから、優先すべきではないと述べています。

対して、C++のデベロッパーは実装は十分ではないとしており、ヘッダー検証に1秒以上を有するなど多くの問題を抱えていると述べています。また、現在のEthashとProgPowを置き換えのみであるため、両アルゴリズムを維持する必要性も主張しています。

ifdefelseによると、原時点ではGethとC++のフォークに実装のみで、プルリクエストは一切行っていない状態であるため、ifdefelseのリポジトリ内に開発はとどまっているとしています。

 

レポジトリ:https://github.com/ifdefelse?tab=repositories

 

4.結論と考察

これらをまとめると、ProgPoW実装には長期のテストが必要であり、コンスタンティノープルは既に5つのEIPで決定しているため、次のコンスタンティノープルの8ヶ月となるイスタンブールフォーク以降での実装となることになります。

マイナーが急ぐ理由としては、EIP-1234からの収益低下による問題からマイニング効率のいいASICを排除したいという目的があるわけですが、デベロッパーはコンスタンティノープルとDEVCON4、eth2.0やそれに準ずるEwasmなども手が避けない状態であるため、マイナーが望むよりさらに長期間かかると予測されます。

また次回はDEVCON4前となるため、今回よりさらに簡易な内容になると予測されます。

 

前回の会議はこちら

イーサリアム 10月9日にテストネットのコンスタンティノープルフォークを予定

 

コアデベロッパー会議47 https://www.youtube.com/watch?v=z2mefVnZHpw

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引用元: イーサリアム・ジャパン

イーサリアム 10月9日にテストネットのコンスタンティノープルフォークを予定

イーサリアムクライアントのParityとaleth(cpp-ethereum)はメトロポリスのPt.2となる”コンスタンティノープル”に実装するEIP(改善提案)の残りの実装となるEIP-1283とEIP-1234の実装を完了した後、コアデベロッパー会議にてテストネット”ロプステン”とメインネットの実装時期を話し合いました。

本稿では、イーサリアムの年末までのタイムラインとイーサリアムの今後について解説を行います。

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1.10月9日ロプステンのコンスタンティノープルフォークを予定

今回、イーサリアムメインネットでのコンスタンティノープル実装予定を話し合ったものの、10月中となるDEVCON4前の実装はむずかしいため、ロプステンのフォークについて話合われました。

 

1-1.イーサリアムクライアント

イーサリアムのクライアントは、開発言語ごとに12クライアント以上存在します。

 

1-2.クライアントの実装状況とフォーク日付

ParityとalethはすべてのEIPを実装し、GethはWIP(進行中)となっています。EthereumJはEIp-145とEIP-1052に加え、EIP-1283の実装を終えマージ(#53にPR中)しており、EIP-1014はテストエラーなどにより、完了していない形です。1014の終了後、EIP-1234に取り掛かるようです。

TrinityはEIP-145, 1014, 1052の実装を終え残すところ2つとなっており、来週末にはメジャークライアントの実装が完了するとみっれます。これらメジャークライアントの進行状況から、今回のコアデベロッパー会議によるとテストネット”ロプステン”のフォークを10月9日にセットし、9月29日にはブロックナンバーの決定を行います。

ロプステンではブロックタイムが少々安定していないため、フォークはずれる可能性があります。

 

出典:https://github.com/ethereum/pm/issues/53

 

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2.ディフィカルティボムの今後の影響

イーサリアムは将来的にCasperへ移行するため、ディフィカルティボムが実装されています。現在のバージョンであるビザンチウムへ移行時、ブロックタイムは30秒となり、ハッシュレートは同じにもかかわらず、ブロック難易度が指数関数的に上昇。新規チェーンへの移行を行いました。

 

2-1.マイナーの報酬リスクと中央集権化

この時、マイナーの日の報酬は50%となっており、現在のように採算の取れない価格では、このマイニング報酬が半額になると、大きな中央集権リスクがあるため、今回のコンスタンティノープルではディフィカルティボムの影響の出始めに注意しての実装となります。

つまり、現在のブロック生成時間からディフィカルティボムの影響開始を算出する必要があり、その時期をデッドラインとする必要があるということです。

 

2-2.マイニングの今後とディフィカルティボムの計算

Vitalik氏によると、現時点で「2ヶ月はディフィカルティボムの影響はでない」と述べいます。現在のイーサリアムのブロック生成時間は、15秒以下で安定しているため、3ヶ月は問題がないとしており、

 

「理論上では、ブロックタイム増加の開始は約4~5ヶ月の余裕があるが、ブロック生成時間は一度影響が出始めると約17日で2倍となる。」

 

と述べています。つまり、マイニング報酬が減少されるまで約3ヶ月の猶予期間があり、ディフィカルティボムの影響で報酬が減ることはないということになります。

 

出典:https://etherscan.io/chart/blocktime

 

3.コンスタンティノープル実装の時期は11月以降

各デベロッパーは、EwasmやDEVCON4の用意などに忙しいため、メインネットのアップデートは11月初旬以降〜12月となる予定です。Vitalik氏の言う確実な”3ヶ月”を考慮すると、12月までにイーサリアムネットワークは新規コンスタンティノープルチェーンに移行する必要があります。

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4.イスタンブールハードフォーク

コンスタンティノープルの実装後、コンスタントに8ヶ月の期間で次の大型アップデートを決定しています。今回の会議で明らかになったコンスタンティノープルの次のフォークは”イスタンブール”と名付けられ、コンスタンティノープルの時期から、来年8月以降に実装されることになります。

 

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引用元: イーサリアム・ジャパン

イーサリアムParity コンスタンティノープルテスト段階へ移行 年末実装か?

イーサリアムクライアントのParityが、コンスタンティノープルの実装EIPの4つ目となるEIP-1283とEIP-1234をいち早く実装し、テストへと移行しました。本稿では、コンスタンティノープルの開発状況とEIP-1234が決定してからのマイナーの動向について解説を行います。

 

▼DMMサロンではイーサリアムやビットコインの詳しい解説レポートや、日々のテクニカル分析などを行っています

1.コンスタンティノープルのテストへ移行

イーサリアムクライアントの一つで、Gethの次に人気の高いParityはDirtyMapを導入してSSTOREオペコードのガス消費を変更するというコンセプトのEIP-1083の代替え案となるEIP-1283の実装。コンスタンティノープルのテストへと移行となりました。

 

出典:https://github.com/paritytech/parity-ethereum/pull/9505

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1-1.コンスタンティノープルはいつ実装なのか?

イーサリアムのハードフォークはビットコイン同様に、特定ブロック高でのフォークを行います。7月の段階では、10月30日~11月2日に行われるデベロッパーカンファレンス、通称DEVCON4の前に実装する場合、十分なテストが行えないため実装するEIPはEIP-145, 1014, 1052のみとのことでした。

ですが、今回はSSTOREの仕様を大幅に変更するEIP-1283の実装やEIP-1234での報酬減少なども加わったことから、DEVCON4の準備などを考慮すると11月末から12月になると考えられます。

 

1-2.ディフィカルティボムの影響とハードフォーク

現在のイーサリアムのブロック生成時間は平均14.5秒となっています。つまりディフィカルティボムの影響を受けていないということになります。EIP-1234は既に実装が決まっているため、マイナーは現状のETH価格とハッシュレートのままコンスタンティノープルを実装してしまうと原時点から34%の報酬を失うため、コンセンサスを得られない可能性があります。

下記チャートを見るとわかるように、EIP-649実装時にネットワークの分裂の可能性が最も高かったため、ブロック生成時間の2倍となる30秒までビザンチウム実装を待ちました。この時、ハッシュレートは変わらずにブロック生成時間が2倍となるため、マイニング報酬は半額となっていたことになります。

もしEIP-1234の実装に30秒まで待つとすれば、ハッシュレートはうまく調整されることになりますが、企業や電気代の安い地域とASICに集中するので、今回はディフィカルティボムの影響を十分確認してのフォークはないと考えられます。

出典:https://etherscan.io/chart/blocktime

 

EIP-1234については下記を参照してください。

イーサリアムのマイニング報酬を2ETHに減少するEIP-1234と開発の今後

 

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2.EIP-1234に向けたマイナーの動向とセキュリティ

9月に入り、約34%130ドルの下落を記録したイーサリアムは、EIP-1234の決定とともにコンスタンティノープルのハードフォーク後に価格が回復できない場合、マイナーはさらにマイナス収益が増えることから、一部の電気代の高い地域のマイナーが撤退を開始したと見られます。

 

このハッシュレートの減少は現在40TH/sの減少を見せており、イーサリアムクラシックのネットワーク全体のハッシュレートである17TH/sの約2.4倍のハッシュレートの減少を見せているということになります。そのため現在は約13%のマイニング報酬が上昇しており、ハッシュレートの減少が今後も持続すると見られます。

 

ではこのハッシュレート減少が、セキュリティ面においてコンスタンティノープル実装後に問題となるでしょうか?

これは過去のハッシュレートの上昇チャートを確認するとわかります。

現在の価格は170ドルで、この水準は2017年5月の価格水準と同等となっています。この時イーサリアムのハッシュレートはわずか3TH/s前後であり、現在は255TH/sであるため、85倍のハッシュレートであることがわかります。

つまりコンスタンティノープル実装後にマイナーが分散や撤退をしたとしてもセキュリティ上攻撃のためのコストは高いということになります。

 

出典:https://etherscan.io/chart/hashrate

 

3.結論と考察

イーサリアムはコンスタンティノープルからEIP-1234を実装することで、イーサリアムのPoS、Casperへの移行アプローチを明確に示しました。つまり今後の開発でのイーサリアムのインフラモデルは変更され、ビットコイン以上の早さでデフレーションモデルへと移行することになります。これにより、Casper移行時のセキュリティ懸念は誠実なマイニングノードにより構成される可能性が上がっていくといえるでしょう。

 

▼コンスタンティノープルの実装とETH価格やネットワークへの今後の影響の詳しい分析は下記サロン記事にて解説しています。

https://bokujyuumai-salon.ethereum-japan.net/archives/1327

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引用元: イーサリアム・ジャパン

イーサリアムのマイニング報酬を2ETHに減少するEIP-1234と開発の今後

  1. イーサリアムのコンスタンティノープルハードフォークに焦点をあてたデベロッパーによる特別会議が日本時間31日に行われました。この会議では、特にイーサリアムのマイニング報酬およびアンクル報酬を減少させるEIPについての話がメイントピックとなっています。

本稿では、デベロッパー会議で決定したEIP-1234の影響と問題、今後のイーサリアムの開発実装についての解説を行いました。

 

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1.コンスタンティノープルにフォーカスした会議

31日に行われた会議では、主にマイニング報酬の減少についてフォーカスしており、既にコンスタンティノープルのEIPとなる新たなOPCODEの追加などに加え5つのEIPになると考えられます。

24日に行われたデベロッパー会議ではマイニングコミュニティから代表を招きました。中国の最も古いSparkpoolのCEOのXin Xu氏や米大口マイナーのAtlantic CryptoのCEO Brian氏などが参加し、マイニングコミュニティはの3ETH継続、Nephew報酬を減らしUncleを調整するEIP-1295を支持し、デベロッパーは2ETH、アンクルも調整するEIP-1234を支持し、意見がわかれました。

これらの会議の意見を参考に、今回の特別会議では競合するEIPについてフォーカスした話し合いとなりました。

 

2.EIP-1234はEIP-186に沿っている

EIP-1234は、現在のビザンチウムにEIP-649が実装された時点で開発ロードマップでは決まっていたといえるでしょう。今後のコミュニティ分裂のリスクは、EIP-649が実装された際にスムーズにディフィカルティボムの影響を残したまま移行できた点において、確定的だったと考えられます。

 

EIPについては過去の記事を参照してください

10月16日イーサリアムのメトロポリスハードフォークの重要な事

 

2-1.EIP-1234マイニング報酬を3ETHから2ETHへ減少させる

EIP-649のオリジナルのEIP-186ではフラッグデーごとに報酬変更することでハードフォークリスクを回避するというもので、EIP-649では報酬を5ETH→3ETHへと変更するものでした。EIP-186では1ETHずつ減らし、最終的にCasper移行前に1.5ETHまで調整するものであったたため今回の決定は開発が進むにつれ”前提”となっていたことを踏まえ、EIP-1234について見てみましょう。

EIP-1234では現在の3ETHから2ETHへの変更かつディフィカルティボム調整となっています。現在日本の一般マイナーは1ETH掘るのに2ETH分の電気代を必要とし、赤字の状態でのマイニングとなっています。電気代の安いアメリカなどの地域では1ETHを掘るのに0.89ETHとなり、ギリギリ黒字のラインです。

 

図1.EIP-649の3ETHの場合

 

対して、EIP-1234では約34%の報酬減少となるため、同じハッシュレートでは0.89ETHの電気代に対して0.66ETHの報酬となるので、明確な赤字となります。

中国では電気代よりも人件費が高くつくため、同様に問題です。

図2.EIP-1234の2ETHの場合

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2-2.マイニング報酬が減少が引き起こす問題

DAGによるメモリーハードによりASICレジスタンスであったイーサリアムは、Antminer E3の登場により状況が一転、W/Pレシオは脅威の4.4W/Pで、GTXリグはOCなしで5.5W/P、RXリグ6W/PであるためASICの一般的性能からは劣るものの、バッチ1での800ドルという価格は圧倒的なコスパによりETH価格が下落を続けるにもかかわらずハッシュレートが大幅に増加しました。

つまりAntminer E3では、既存のリグよりW/Pレシオが低いことにより、有利である点、更に日本のように毎年釣り上げされる”再生エネルギー賦課金”により世界レベルで高い電気代の地域(キュービクルでもマイナス)や個人マイナーは現在のベア相場では”掘るほどマイナス”である現状、ここから更にEIP-1234で報酬が減ることにより「ハッシュパワーの中央集権化」が考えられます。

 

2-3.ハッシュレートの中央集権化

通常ハッシュパワーが増えると既存マイナーの報酬は増え、ハッシュパワーの増加は価格の上下によりある程度のインセンティブが働き調整されるべきものです。ですが、ビットコイン同様、イーサリアムのハッシュレートは右肩上がりになっており、初期投資を回収できていないマイナーが増える悪循環により、そのインセンティブは誤差レベルにとどまっています。

これらのことから、現在の大半のマイナーはマイナス収益でもマイニングしていることになり、電気代を安く抑えている企業や電気代の安い地域の大規模なマイナーは利益を出すことで継続でき、個人マイナーはさらなるマイナスに耐えられないことになります。単純に考えて現在の価格帯が続くとすると、34%のハッシュレートが他のネットワークに割かれるか、GPUが売却されることになります。

企業に集中し、さらにASICがネットワークを構築するというのはセキュリティ的に大きな問題といえるでしょう。

出典:https://etherscan.io/chart/hashrate

3.イーサリアムの今後のハードフォーク周期

EIP-1227では現在のデフレモデルへとビザンチウム実装時から移行を目指しているイーサリアムとは真逆の提案で、マイナーはディフィカルティボムの調整ではなく”排除”を提案しました。ですが、前回のDEVCON3でデベロッパーは

「8ヶ月のタイムラインでのハードフォークによる新規EIPの実装を行う」

としていたため、イーサリアムの開発においてそぐわないため、コアデベロッパー会議44で全員一致でディフィカルティボム調整で決定しています。今回の会議では、この8ヶ月周期でのアップデートにデベロッパーは全員賛成で、ディフィカルティボムの調整は12ヶ月でコンセンサスを得た形となりました。

これはつまり、ロードマップ上では後2回であったコンスタンティノープルと完成となるセレニティとは別に、現在のメトロポリスを分割したビザンチウムとコンスタンティノープルのように複数にハードフォークが分割されることを指します。

今回Casper FFGのEIP-1011が開発遅れで入らないことや、Sharding+Casperの32ETHデポジットの1wayバーンコントラクトとその後のアップデートを考えると、より長期のロードマップで見る必要があるでしょう。

ディフィカルティボムについては下記wikiにて詳しく説明しています

ディフィカルティボム

 

4.結論と考察

今回Coinvoteで行われた投票では、1ETHに減らすEIP-858が72%の支持を得ていましたが、この場合、ビットコインのインフレ率を下回ることやエコシステムを考慮した際に妥当な判断とは言えず、デベロッパーも「一つのシグナル似すぎない」と述べており、前回の会議で言われた「2ETHは妥当である」という点から今回のEIP-1234は決まっていたといえるでしょう。

非中央集権での開発は前提ではあるものの、エコノミックモデルとエコシステムを考慮して逸脱した提案や実装はデベロッパーに修正される傾向にあります。中長期的にみて34%の売り圧が減ることとなるので、イーサリアムのデフレモデルへの移行とCasperへのセキュリティアプローチのEIP-186を考慮するとネットワークは順調に進んでいると言えます。

出典:https://www.etherchain.org/coinvote

 

▼さらに詳しくはDMMサロン「墨汁うまいと学ぶ仮想通貨の世界」にて

https://lounge.dmm.com/detail/1145/

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引用元: イーサリアム・ジャパン

イーサリアムの最大発行枚数を制限するEIP-960とAntminer F3

イーサリアムの最大発行枚数を提案するEIP960がVitalik氏により提案されました。これはビットコインのように2,100万枚の発行制限が決まっているのと違い、このEIP960が実装されると発行制限のなかったイーサリアムには大きな進展となります。本稿では最近話題のイーサリアムASICによるマイニングの中央集権化とEIP960が実装された際のイーサリアムへの影響と今後のシナリオについて分析を行いました。

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1.イーサリアムのASICによる中央集権化問題

イーサリアムは現在、ビットコインと同様のProof of Work(PoW)アルゴリズムを使用しており、独自のEthashを使用しています。これはASICと違いメモリハードであるため一般的に映像処理などの並列演算に強いGPUを使用してマイニングを行います。これによりマイニングの中央集権化を防いでおり、誰でもGPU1枚からマイニングが可能となっています。

現在イーサリアムはASICの販売の可能性とマイニング収益性の問題を抱えており、順を持って確認します。

1-1.Antminer F3(イーサリアムASIC)

ASIC耐性を持つイーサリアムのマイニングにおいてASICを販売するというニュースは俄に信じがたいですが、多くの話題を呼んでいます。元のソースと見られる中国のTechNewsの報道によると

「イーサリアムのマイニングに使用されるEthashはGPUに求められる広域のバンド幅を使用するように設計されていると考えられる。BitmainはDRAMバスのバンド幅を増加し、メモリサイズも同様に増加した設計のAntminer F3を近いうちにリリース予定。各3枚のM/Bに6つのASIC専用プロセッサーと32枚の1GB DDR3メモリーとなり、Antminer F3はビットコイン用のS9が512MBのDDR3に対し72GBとなる」

と報道している。

1-1-1.F3の予測されるハッシュレート

明確なソースはありませんが、ハッシュレートはおおよそ200~220MH/sと言われ、3000ドル前後ではないかといわれています。これはAMDのRadeon RX470やNvidia GTX1060が20~24MH/sであることを考慮するとGPUが8~10枚前後と同等となります。

ASICプロセッサによって変わると思いますが、独自に予測を行います。Ethashは元となっているDagger HashimotoDAGによってASIC対策を行っています。このDAGサイズは常に増加していき、元々マイニングで主流だったR9 280xはハッシュレートを落としていき2017年にはDAGサイズが2GBに達しました。これを考慮してPoSまでに移行するまでには4GB以上のRAMを確保したいと考えるとGPUの12-18台分に相当すると考えることができます。

ASICプロセッサの演算能力は考慮せず考えるとするとハッシュレートはおおよそ240MH/s~432MH/sの範囲内となるでしょう。

*あくまで単純計算であり、多くの要因は考慮していません。

 

DAGとGPUの関係性については過去のハッシュレート低下問題を参照してください。

アルトコイン暴落の引き金を引いたイーサリアムのマイニング問題

1-1-2.ASICとマイニングリグの消費電力

次にマイニングに重要なのは消費電力であるため、イーサリアムマイニングの定番RX470で考察します。公証では120Wであるため12台で考慮すると1440W、CPUはセレロンで十分であり、RAMもOSを動かす程度でいいため通常のリグであれ多く見積もっても1600W~2300Wくらいとなるでしょう。

Antminer F3の消費電力も同様に発表されておらず、不明ですが通常のリグを組むより消費電力を抑えることができれば、ハッシュレートがGH/sのように高くないにしてもAntminer F3はイーサリアムのマイニングにおいて大きな影響を与えることになります。

1-2.EIP-958 ASIC対策のためのマイニング修正

ここ数日話題になっている「ASIC対策のためにフォークを行うか?」という話題に対してEIP-958が提案されました。ですが、このEIPでは改善提案というよりはコミュニティの意見を聞く形に近くなっています。現時点でこのイーサリアムASICによる中央集権化を防ぐためにフォークを行うべきか?という問いに対し、約700のサポートと30の反対票が集まっています。比率にして約95.8%の支持を受けていることになります。

Ethereum ASIC EIP-958

ですが現時点でのAntminer F3への対策などは明確には提案されておらず、ASIC対策としてフォークを支持するかどうかというものだけになっています。Vitalik氏とは別のアプローチでCasper開発を行っているVlad氏が行ったアンケートによると57%が支持し、13%が不支持、10%は複雑だとしています。

1-3.ETHASICが販売された際の問題

現在イーサリアムのハッシュレートは260TH/sを推移しており、2017年の約2.6倍近いハッシュレートを記録しています。大幅に増えるハッシュレートに対し、マイニング収益性は2015年のローンチから過去最低を記録。これはRX470が1枚で24MH/sの時、ドル建てで1日の収益が約76円であることになります。(日本では電気代は通常26円前後であるため国内ではマイナス)最高収益は前回の最高価格付近で1月10日であり約560円であるため約1/8まで下落していることがわかります。

マイニング収益が低下する一方マイニングに必要なGPUはNvidiaなどのGPUメーカーのチップ供給不足によりGPU自体の製造が遅れており、現在新規で大量にGPUを購入することができません。価格は4万円前後まで上がっており、マイニングするためにハッシュレートを上げるにはより大きな投資が必要となっています。

2.EIP-960 イーサリアムの総発行枚数を~1億2000万ETHへ制限する

4月1日、イーサリアムの開発者Vitakik氏によりイーサリアムの通貨ETHの最大発行枚数を制限するEIP-960が提案されました。本項に入る前にまず4月1日のエイプリルフールに行なわれているという点、EIPであるという点について軽く触れます。

EIPはイーサリアムの「改善提案」であり、実装が確定しているものではありません。つまり例えジョークだとしてもただの提案であるため真偽を問う必要はないということです。ですがここで重要なのは、ETHの新規発行に関する提案はコミュニティの意見より実装されがちであるという事実です。詳細は現在のイーサリアムのバージョンであるビザンチウムのEIP-649と元のEIP-186の提案を参照してください。

EIP-186:イーサリアムのマイニング報酬の減少?メトロポリスの現状

10月16日イーサリアムのメトロポリスハードフォークの重要な事

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2-1.ETH発行制限の詳細

Vitalik氏によると

「広域にわたっての複数の環境下においてイーサリアムプラットフォームの経済持続性を確実にするためであると述べており、PoWマイナーが新規コインを発行するのはこれ以上平等にコイン(ETH)を分配またはその他の重要な政策目標を促進するための効率的方法ではない」

とし、今回のEIP-960を提案するとしています。

2-1-1.ブロック報酬の計算

現在のネットワーク全体のETH送料は約9,850万ETHであるため1.2億ETHに制限するとすれば残りの発行枚数は2,150万ETHとなります。新規発行される報酬を一括して「報酬ユニット(Reward Units)」とし、RUと定義した場合

1RU=(1 – CURRENT_SUPPLY/MAX_SUPPLY) ETH

となり、このEIP-960では120,204,432ETHに設定することを提案しているので

1 - 9850万(現在の供給数) / 12,000万(総発行枚数)  = 0.17916667ETH

となり、現在のブロック報酬は3ETHであるため

3ETH(ブロック報酬) / 0.1792ETH(1RU) = 16.74RU

と報酬ユニットを表すことができます。1ヶ月後には9,910万ETHに供給数が増え、RUは0.1742ETHに減少するためブロック報酬のETHは

16.74RU * 0.1742ETH = 2.9155ETH

となります。

2-1-2.長期的な影響

このように総発行数は指数関数的に最大発行枚数とブロック報酬は0ETHに近似していくことになります。Vitalik氏によるともしPoWを最大発行枚数になるまでマイニングを続けるとすると744日、約2年毎にマイニング報酬が半減することになると述べています。またイーサリアムのProof of StakeであるCasperに移行した際には大幅にブロック報酬が減り、使用料の手数料(悪意のある攻撃によりスラッシュされたバリデーターも同様)などによって供給量を減らすため0ETHより残ることになるとしています。

2-2.最大発行枚数の提案

この実装はプロトコルを変更する必要があるため、必ずハードフォークを行う必要があります。メトロポリスのPt.2となるコンスタンティノープルで実装するとした場合は1年前後の準備がかかると仮定すれば1ヶ月のETH発行数が60万ETHであるため720万ETHが既に発行されることとなります。つまりRUは

1 - ( 10,570万 / 12,000万 ) = 0.11916667ETH

となるので44%も減少することになります。つまりブロック報酬は

16.74RU * 0.1192 = 1.9954ETH

と大幅に減少してしまうためVitalik氏は144,052,828ETHまたは2015年のICO時に用意したETHの2の倍数に設定するべきだと提案しています。

2-3.最大発行枚数と価格の関係性

実装時期を一度置いておいて残りの発行数を最大発行数と比較してみると1.2億ETHはビットコインの最大発行枚数である2,100万BTCと比較した際のインフレは類似しているという意見もあります。

ビットコインの現在の発行総数は16,951,300BTCであるので

21,000,000BTC - 16,951,300BTC = 4,048,700BTC

405万BTC / 1,695万BTC * 100 =  約24%

対して1.2億ETHの場合は

120,000,000ETH - 98,545,046ETH = 21,454,954ETH

2.1万ETH / 9.9万ETH * 100 = 約21%

もし1.4億ETHにした場合は

140,000,000ETH - 98,545,046ETH = 41,454,954ETH

4.1万ETH / 9.9万ETH * 100 = 約41%

となりビットコインの約2倍となるため1.2億ETHの最大発行数がエコシステム構成にはいいのではないか?という意見があります。

3.イーサリアムが最大発行枚数を設定した際の影響

ではここからはEIP-960が実装された際の影響を考察します。考えられる影響は上記で説明したAntminer F3対策とイーサリアム価格自体の上昇などが考えられます。

3-1.潜在的なイーサリアムASICに対する経済対策

PoWの場合、ハッシュレートがあがるほどマイニング報酬は分散され損益分岐点が切り上がってきます。例えば現在のハッシュレートは2017年に比べて2.5倍以上となっており、損益分岐点は各国の電気代に依存しますが2.5倍の価格になっている事になります。

これを考慮するともしAntminer F3がリリースされたとしても、現在の価格が上がらない限りイーサリアムのASICの購入対象者が減ることになります。またマイニング報酬は指数関数的に減少していくのに対し、価格は比例して上げることはできないため今後出てくる可能性のあるASICを購入するインセンティブはバッチが進むにつれ減っていいくことになるでしょう。またRUは0に近似してく前にCasperへ移行するためGPUのマイニングリグより投資するインセンティブは下がることにより潜在的にASICに対しての対策となります。

Casperの概要については下記を参照してください。

イーサリアムのPoS”Casper”が解決するPoWの問題

3-2.イーサリアム価格の上昇

現在イーサリアムのマイニング報酬は減少する一方です。マイナーは自身でETH価格を破壊することはなくネットワークの誠実性を保つため、売り圧が潜在的に減っている現状で発行数の制限がされることにより、価格が上昇しやすくなります。マイニングで得られる報酬は限られており、さらにCasper上でバリデーターとしてブロック生成報酬を得るには一定数のETHを保有している必要があります。VCや投資家が今後イーサリアムに投資すると考えた際にはバリデーターを見据えると現在のマイニング報酬が過去最低である現在にはタイミングがよく、現在の下落相場が反転する際には大きな買いが入ると考えられます。

Casperへの移行後にバリデーター報酬を得るにはETHをデポジットし一定期間売れなくなるため、マイナーが自身の割くリソースを維持するための潜在的売りが発生する現在のイーサリアム価格より安定すると考えられます。また発行制限は需要が増えるほどインフレとなることも大きな要因となるでしょう。

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4.結論と考察

エイプリルフールではないか?という意見もありますが2017年のVitalik氏のジョークは「Devcon3が北朝鮮の平壌に変更」というもので、Ethereumの公式ブログからでした。今回はEIP上で行っており、最初に説明したAntminer F3の件や現在のブロック報酬減少のオリジナルの提案となるEIP-186での内容を考慮すると発行制限を設けるというのは自然なことであると考えられます。

また動画でF3によりマイニングを行っている動画なども上がっていますがRAMを72GB積んでるのに対し、今までのAntminer S9などと同じ筐体であるのも疑問がわきます。画面などは画像を表示するだけでよく、ロゴは自身で作成するだけでフェイク動画が作成できるので、この動画でイーサリアムASICの情報が確定ということはできないでしょう。

内容は憶測が憶測を呼んでいるためBtimainの公式発表を待つのが1番でしょう。

The post イーサリアムの最大発行枚数を制限するEIP-960とAntminer F3 appeared first on イーサリアム・ジャパン.

引用元: イーサリアム・ジャパン

ビットコイン暴落の歴史から考察する相場分析〜2月は買いなのか?〜

ビットコイン価格は2月2日に70万円代を記録し、去年11月と同じ価格帯を記録、最大230万円まで行った現物価格は約3分の1を記録したことになります。前回の「中国がビットコインを全面禁止するのか」という記事で行ったテクニカル分析は的中し、コインチェックの出川氏のCMを見て入ってきた世代にはきつい展開となっていますが、果たしてこの下落は止まるのでしょうか?

本項ではビットコインの去年の下落イベントと相場の性質を比較し、ビットコイン相場の性質とテクニカル分析を行いました。

 

中国はビットコインを全面禁止?~取引所閉鎖後の経緯とインタビュー~

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1.ビットコインは昨年のトレンドをフォローする傾向がある

去年のビットコインチャートを確認してみると、年末大きく高騰を見せた後約42%の下落を記録しました。当時を私は鮮明に覚えており、2016年12月30日、日本最大の取引所bitFlyerが「仮想通貨元年」という言葉と共に、日経新聞の全面に広告を出したことを覚えています。

今回”出川組”と言われている2017年12月8日に開始したCoincheckのビットコインCMと同様で、新規大幅参入→暴落というトレンドが不思議なことにできています。

1-1.2017年PBoCショックによる暴落

まだ記憶に新しいのは2017年のPBoCショックでbitFlyerの全面広告後、1月5日にPBoCはビットコイン取引所への立ち入り検査を発表。「中国がビットコインを禁止する」という噂が広まり暴落を引き起こしました。

1-1-1.レバレッジとマージンレンディングの廃止

更にPBoCショックは止まることなく、取引所は「通常の検査だ」と主張はしていたものの、レバレッジとマージンレンディングによる取引の禁止を発表。これまで100BTC〜1000BTCのオーダーが飛び交っていた中国主権のビットコイン相場は終了を迎えました。

また当時はbitFlyerを含めどの取引所もビットコイン取引手数料無料の所が多く、中国の三大取引所OKCoin、BTCC、Huobiも同様でしたが、中国のビットコイン事情に詳しい中国科学院のDr.Eric Zaho氏は「中国はレバレッジ取引とマージンレンディングによる収益が得られないため今後手数料を導入する可能性がある」と指摘。1月末には三大取引所と大手9取引所含める主要12取引所全ての取引手数料が有料となり、ビットコイン価格はUSD最大の取引所BitfinexをはじめとするUSD主権相場へと変わり、現在も続いています。

1-1-2.更なる追い打ち

PBoCショックから1ヶ月後の2月、三大取引所はビットコインとライトコインの引き出し停止を発表。当初は”1ヶ月”としていたものの、現在のCoincheckと同様に再開の目処は全然経たず、長期に渡り資金を拘束されることとなりました。

 

1-2.2013年中国のビットコイン否定と2014年前マウントゴックス

このPBoCショックによる下落相場、実は1度ではなく2014年のMount Gox以前の2013年12月5日、大幅な高騰を記録し1,175ドル当時の価格にして約13万円を記録した後、PBoCが

「ビットコインは本当の意味で通貨ではなく、通貨と同様の法的扱いとして共有しないデジタル商品であり、通貨と同様の流通と使用はされるべきではないし、できない」

発表。これにより、「中国はビットコインを禁止する」と騒がれ約55%もの下落を記録。更に追い打ちをかけるようにマウントゴックスが2月7日にビットコイン引出しを発表。ハッキングによる異常価格により100ドルを記録し、2014年ビットコインの名前は日本中に知れ渡り長い冬の到来となりました。

またこのことから「中国は年に2回はビットコインを禁止する」などのジョークが言われる様になりました。

1-3.2016年半減期とBitfinexハック

マウントゴックスによる暴落の後、2016年ビットコインの半減期前に多くのビットコイン関連記事で「ビットコインは半減期により高騰する」という煽り記事により、新規が増えた次期がありました。当時の記事では

「ビットコインのマイニング報酬が半額となる半減期には価格が上昇傾向であり、ビットコイン価格は高騰する」

などの記事を多くみました。結果上昇はせず約8.3万円から約5.7万円まで32%の下落を記録。更に追い打ちをかけるように8月2日にBitfinexが12万BTCのビットコインをハッキングにより盗まれ4.7万円まで下落しました。これらのことを考慮すると、案外知られていないかもしれませんが、下落の後には必ず下落が来るというトレンドを繰り返す傾向が見えます。

2.年末にかけてビットコインは高騰傾向にある

上記の様に下落トレンドは年始付近に発生する傾向があることがわかりました。一つ考えられる原因としては「価格上昇に伴う利益を個人事業主や個人投資家が今年の税金を確保するために利確している」などが上げられますが、これは日本での話ですので大きな効果はないと考えられます。

では上昇トレンドは下落と同様にトレンドをフォローするのでしょうか?

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2-1.2015年の年末ビットコイン相場

2013年のPBoCショック、2014年のマウントゴックスにより長い冬を迎えたビットコインは2015年11月に最高価格63,000円を記録。再度下落するも年末には56,000円を記録し。年始に下落するという形となりました。そして2016年2月には最低価格となる57,000円を記録。その後8月にBitfinexのハックというイレギュラーが起きたものの、上半期での最安値は2月であった事がわかります。

2-2.2016年の年末ビットコイン相場

2016年末8月の高騰の影響か、中国が売りを無視して大幅な買いを入れ、我先にとビットコインを購入していき、半減期相場の約2倍となる15万円を記録。この過熱具合に2013年に忠告を行ったPBoCは立ち入り検査を行い、レバレッジなどを規制しました。2月に引き出し停止を三大取引所が発表したものの、PBoCからの規制ではなく、取引所の自主規制であったたため大きな影響は見せませんでしたが、2015年同様2017年2月に一度下落し10万円代を記録。2017年の最低価格は1月のPBoCショック時で86,000円でした。

2-3.2017年の年末ビットコイン相場

2017年は記憶に新しく、世界最大の先物取引所CMEとオプション取引のCboe、更にはNasdaqがビットコイン先物の取扱を発表。またオフチェーン取引を提供するライトニングのペイメントチャンネルを開くために重要なSegWitが無事導入され、スケーリング問題についても多くの進展を見せました。FXクラスタのみならず、多くのトレーダー達が入ってきたこともあり、最安値から約26.8倍となる高騰を記録しました。

2-3-1.bitFlyer FXの乖離が60万円に突破

ビットコインは231万を記録した後、Cboeのビットコイン先物がそれほど影響を及ぼさなかった事による「噂で買い事実で売る」となり、180万円まで下落。その後220万円まで回復した所でbitFlyerが12月17日Lightning FXと現物の乖離が最大60万円を記録。その際に乖離対策となるSFD(乖離方向に手数料を徴収し、逆方向に約定したユーザーへ付与)導入検討を発表。その直後30分で7,000BTC、約140億円を超える売りを記録し、ロスカット連鎖を記録しました。

 

bitFleryにはビットコイン現物とデリバティブとなるLightning FXの2つの種類が存在し、 全く別物となっています。詳細は下記を参照してください。

 

bitFlyer Lightningとは?

2-3-2.サーキットブレイカー4回発動

bitFlyerはSFDを発表したものの、3回に渡り”実装予定”という告知を行い、3回めに「1月を目処に実装を行う」と発表。この発表により4回ものサーキットブレイカー(取引一時停止と板寄せ)が発動し、スプレッドは過去最高となる16.2%を記録しました。これによりFX価格は大幅なマイナスプレミアを記録。現在までの長期的な下落トレンドのきっかけとなりました。

3.ビットコインのテクニカル分析

ではここからはビットコインのテクニカル分析を行っていきます。まず日足を確認すると前回の記事で行ったテクニカル分析の150万円をサポートラインとした下降三角を、2018年1月16日のbitFlyerのサーキットブレイク4回というイレギュラーにより大幅下落したことがわかります。この下落はとてつもなく強い力を秘めており、200日線を大幅に割り、雲を突き抜ける形となりました。また、1月29日に下落トレンドをブレイクするポテンシャルを持った買いが入ったものの、レジスタンスラインを騙しぬけした後、大幅な反発により下落トレンドを継続してしまい、200日線では完全なる下落トレンドへと転換してしまいました。

3-1.中期的テクニカル分析

4時間足を確認すると、綺麗な下落トレンドであることがわかります。黄色い○が12月からはじまった下落トレンドのレジスタンスラインでの反発で、3度目にブレイクできなかったことから下落トレンドを継続。また赤○の時にbitFlyerがSFDの導入目処を発表し、更なる下落トレンドを開始しました。このため下落トレンドをブレイクするには赤い年始からの下落トレンドのレジスタンスライン、2月中なら140万円、3月中なら108万円となるでしょう。中期的に価格ブレイクの目安となるのは200日線の青いラインとなり、110万円前後が目安となるでしょう。まずは赤丸の直近の下落トレンドのレジスタンスラインが目標となり、106万円から102万円が目安となるでしょう。

3-2.短期的テクニカル分析

1時間足を確認すると95万円のレジスタンスラインを上昇三角でブレイクし、同時に雲を突き抜け、200日線で反発していることがわかります。短期的にはこの200日線を超え、青の直近の下落トレンドをブレイクし、1月末の110万円のレジスタンスラインを抜ければ買いと考えていいでしょう。可能性として高いのは青の106万円のレジスタンスラインで反発し、再度下落というシナリオが考えられるでしょう。理由として、bitFlyer FXの売り叩きによるUSDの萎えが考えられるからです。

4.結論と考察

2013年から2017年にかけてビットコインは不思議とトレンドを追うことがわかりました。1年後の価格はテクニカルでは分析はできないものの、2016年と2017年末の高騰を考慮すると今年の末にはある程度期待していいのではないかと考えられます。下落トレンドのフォローを考慮すると12月のbitFlyerの乖離埋め対応の発表による1回、3回目のアナウンスによる暴落の2回の下落を記録しており、短期的に110万円を回復することができればトレンドのフォローを考えると77万円が今年の最安価格値となる可能性は高いでしょう。

4-1.ビットコインの投機マネーが抜ける

ビットコイン下落に影響され、仮想通貨全体からフィアットへ資金が抜けていることを考慮すると投機マネーの抜けが考えられます。またビットコイン高騰の一つの要因となったbitFlyer FXの異常な買いによる価格乖離はUSDにも大きな影響を与えました。現物とペッグしないのに価格影響を及ぼしているのはCryptoWatchのティッカー表記変更が影響しています(元々はBTCFXというティッカーで2017年に変更された)価格乖離が埋まったことにより、異常な買いは是正されむしろ相場的には正常へと戻ったでしょう。

4-2.ビットコインの開発は進んでいる

今回はbitFlyerのデリバティブの大きな影響ということもあり、市場の正常化という面を見るとちょうどいい調整であったという印象を私は受けます。韓国のビットコインをはじめとする仮想通貨の取引禁止などのはっきりしない規制による影響も受けましたが、大きな影響はbitFlyer FXであるでしょう。この様な規制やデリバティブの影響は長期的に見ると微々たるもので、ライトニングの1.0RCがリリース後実証実験が幅広く行なわれており、実際に支払いに使用可能まで来ています。

 

ライトニングネットワークについては下記記事にて解説していますので参照してください。

 

ビットコイン開発の今後とCboe, CMEビットコイン先物の詳細

4-3.2018年は多くの大手企業がビットコイン業界へ参入

インターネットバンキング最大手SBIは下記の様にユーザーへ通知しています。

現在、当社は仮想通貨取引サービス開始に向けて最終確認を行っております。
本年2月中に、当社WEBサイトで以下をお知らせいたします。

  • 先行予約での優先口座開設を完了いただいたお客様へ、取引に必要な書類の郵送を開始する時期
  • 一般のお客様からの口座開設申込の受付を開始する時期

2月中に何かしらのアナウンスがあることがわかります。またチャットアプリ最大手のLineが同様にビットコイン取引所を解説することを発表。Lineアプリ上で簡単に売買できるとなれば、多くの資金流出が見込めるでしょう。これは同様に海外でも大きな話題となっています。

 

またNasdaqのCEOによると「CMEやCboeなどの既存のビットコイン先物とは違ったアプローチを模索している」と述べ、今年ローンチ予定であるため大きな期待が持てるでしょう。これらのことを考慮すれば、最高価格の231万円からまだ3分の1しか下落していないビットコインの未来は明るいと私は考えています。目先の下落トレンドにより悲観せず、買い時を見極めることが重要となり、2018年はブロックチェーン上に展開されるライトニングなどのオフチェーンや、RSKなどのサイドチェーンの応用を考慮すると大きく飛躍するのではないかと考えています。

Nasdaqのビットコイン先物については下記を参照してください。

ナスダックがビットコイン先物上場を検討し、価格は大幅な高騰と下落を記録

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引用元: イーサリアム・ジャパン

コインチェックはネム($XEM)を取り戻せるのか?過去の事例から行う分析

今月26日、アルトコイン日本最大の取引所Coincheckが記者会見を開き、約5億XEMで時価総額580億円に上る盗難を受けたことを認めました。NEM財団の代表であるLon Wong氏はインタビューに対し、「NEMの脆弱性ではなく取引所の問題であるためフォークを行わない」と発表。このことによりCoincheckに不正アクセスされたことがわかりました。

本項では過去の同様のハッキング事件を例に、市場最大規模の被害額となる580億円のXEMをCoincheckが取り戻すことができるのか2016年から今までのハッキング事例から考察を行いました。

 

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1.Coincheckハッキングの概要

Coincheckが26日23:30PMから行った記者会見によると下記の様なタイムラインになっています。

03:00AM ハッキング
11:30AM 異常検知
12:00PM NEM入金一時停止
12:30PM NEMの売買一時停止
13:00PM NEMの出金一時停止
14:30PM 全ての通貨の出金停止
(円を含む)
17:30PM BTC以外の売買一時停止
(全てのアルトコイン)

また詳しい時間はCoincheckの発表から確認できます。

1-1.不正送金の確認

イーサリアムやビットコインをはじめとするブロックチェーンはよく匿名性が高いと勘違いされることがありますが、実際は真逆です。パブリックブロックチェーンと呼び、誰もが送金履歴、送金先、送金に関わったアドレスを簡単に知ることができます。これは勿論NEMも同様であり全ての資金の移動を確認することができます。それでは確認して行きましょう

Timestamp Amount Fee Sender Recipient
2018/1/26 0:02 10 0.05 NC3BI3DNMR2PGEOOMP2NKXQGSAKMS7GYRKVA5CSZ NC4C6PSUW5CLTDT5SXAGJDQJGZNESKFK5MCN77OG
2018/1/26 0:04 100,000,000 1.25 NC3BI3DNMR2PGEOOMP2NKXQGSAKMS7GYRKVA5CSZ NC4C6PSUW5CLTDT5SXAGJDQJGZNESKFK5MCN77OG
2018/1/26 0:08 100,000,000 1.25 NC3BI3DNMR2PGEOOMP2NKXQGSAKMS7GYRKVA5CSZ NC4C6PSUW5CLTDT5SXAGJDQJGZNESKFK5MCN77OG
2018/1/26 0:06 100,000,000 1.25 NC3BI3DNMR2PGEOOMP2NKXQGSAKMS7GYRKVA5CSZ NC4C6PSUW5CLTDT5SXAGJDQJGZNESKFK5MCN77OG
2018/1/26 0:07 100,000,000 1.25 NC3BI3DNMR2PGEOOMP2NKXQGSAKMS7GYRKVA5CSZ NC4C6PSUW5CLTDT5SXAGJDQJGZNESKFK5MCN77OG
2018/1/26 0:09 100,000,000 1.25 NC3BI3DNMR2PGEOOMP2NKXQGSAKMS7GYRKVA5CSZ NC4C6PSUW5CLTDT5SXAGJDQJGZNESKFK5MCN77OG
2018/1/26 0:10 20,000,000 1.25 NC3BI3DNMR2PGEOOMP2NKXQGSAKMS7GYRKVA5CSZ NC4C6PSUW5CLTDT5SXAGJDQJGZNESKFK5MCN77OG
2018/1/26 0:21 3,000,000 1.25 NC3BI3DNMR2PGEOOMP2NKXQGSAKMS7GYRKVA5CSZ NC4C6PSUW5CLTDT5SXAGJDQJGZNESKFK5MCN77OG
2018/1/26 3:35 1,500,000 1.25 NC3BI3DNMR2PGEOOMP2NKXQGSAKMS7GYRKVA5CSZ NC4C6PSUW5CLTDT5SXAGJDQJGZNESKFK5MCN77OG
2018/1/26 4:33 1,000,000 1.25 NC3BI3DNMR2PGEOOMP2NKXQGSAKMS7GYRKVA5CSZ NC4C6PSUW5CLTDT5SXAGJDQJGZNESKFK5MCN77OG
2018/1/26 8:26 800,000 1.25 NC3BI3DNMR2PGEOOMP2NKXQGSAKMS7GYRKVA5CSZ NC4C6PSUW5CLTDT5SXAGJDQJGZNESKFK5MCN77OG

コインチェックのアドレスを確認すると正確に不正送金が行われたのは26日0時04分56秒100,000,000XEMから不正送金が開始されたと記録されています。その前の0時02分13秒に10XEMが送金されていますが、これはハッカーがCoincheckから不正に送金できることを確認するための送金であったと考えられます。タイムスタンプを見て分かるように約2分毎に100,000,000XEMが出金され、わずか5分程度で5億XEMが盗まれてしまったことがわかります。

被害総額は正確には526,300,010XEMとなります。

2-2.ハードフォークを行わない理由

今回Coincheckが不正送金を受けた件についてNEM側のプロトコルに脆弱性はないためハードフォークを行うことはありません。まず大前提としてハードフォークはプロトコルの変更を行い新しいチェーンに移行して元チェーンを破棄するものであり、送金を巻き戻す様なことはできないからです。

今回盗まれた5億XEMを無効とするならばNEMの不変条件を変更し、エコシステムに携わる一個人のために人為的な”特別措置”を講じることとなり、ブロックチェーンの不変性を壊してしまうことになるのでNEMの価値と信用を失ってしまうことになります。

ハードフォークに関する説明はParityのマルチシグバグを例に下記記事で詳しく説明しているので参照してください。

イーサリアムの不変条件から考察するハードフォーク

 

2.過去のハッキング履歴とその後

ブロックチェーン自体のセキュリティは高く、未だにハッキングの多くは取引所のヒューマンエラーや、内部又は外部によるハッキングによる被害が後を経ちません。ここでは今までの被害額が多かった例と債権者のその後と盗まれたコインの動きを確認します。既に2016年から全ての事件を把握している方は次の目次3へおすすみください

2-1.マウントゴックス事件

皮肉なことにビットコインの名前を日本中に知らしめた誰もが知る事件で、2012年から2013年にかけて計約370億円が何者かによってマウントゴックス社から盗難されました。この盗まれたビットコインはFBIの調査によると幾度の送金を経てブルガリアのビットコイン取引所BTC-eへと一部送金されたと報告されています。

2017年7月、FBIはBTC-eの資産とデータベース、機器などを全て差し押さえマウントゴックスから盗まれたとされるビットコインを押収しました。当時日本の警察はパブリックブロックチェーンで誰もが履歴を追えるのに対し、「操作能力の範囲を超えている」として操作を打ち切りました。

盗まれたビットコインは幾度となくBTC-e内で資金洗浄されているため売却されてしまったことになります。また盗まれた資産の一部は取り戻したものの、法的期間が関わっていることから未だに資金がユーザーの手に戻ってきていません

 

マウントゴックスまとめ

・経過年月:約5年

・盗難理由:不明で未だ調査中

・債権者:未だ債権回収の目処は見えず

・盗難された現物:一部?売却済み

 

 

更に詳しい詳細と当時の経緯については下記を参照してください。

185億円の盗難か?BTC-eのビットコイン マネーロンダリングとMtGOXの深い闇

2-2.Nicehashハッキング事件

まだ記憶に新しいNicehashのハッキング。取引所の不手際が多い中、Nicehashによるとマイニングプールのウォレットがハッキングされたと主張し、約73億円が盗まれました。

普通に考えて内部の犯行以外ありえない状態ですが、Nicehashは1月31日から確認できた盗難前の残高については補填すると発表しています。

 

Nicehashまとめ

・経過年月:未だ回収されず

・盗難理由:不明

・債権者:1月31日から請求ができる予定

・盗難された現物:未だハッカーの手中

 

詳細は下記を参照してください

Nicehashのビットコインウォレットがハッキングされ約73億円が盗まれる

 

2-3.Parity事件

2017年7月、イーサリアムクライアントParityの提供するマルチシグウォレットにバグが発覚し、ハッカーが利用して約34億円のETHが盗まれてしまいました。ウォレットからの盗難は極めて珍しく、Parityがデプロイしたコントラクトのコードに問題があったためハッキング被害のうち唯一盗難理由がわかっているものとなります。

また残念ながら盗まれたETHは即座に売却されており、ハッカーの勝利で終わってしまいました。

Parityまとめ

・経過年月:回収不可

・盗難理由:コントラクトの脆弱性

・債権者:回収見込みなし

・盗難された現物:即座に売却され不明

 

イーサリアムParityの脆弱性で34億円が盗まれる

2-4.Bitfinex事件

2016年8月、USD最大の取引所Bitfinexがハッキングされ約12万BTC、当時の価格にして84億円がハッカーにより盗まれました。この盗まれたBTCは2017年に移動を開始ししたものの未だ大きな動きを見せていない状態となっています。

Bitfinexはこの巨額の損失を補填するためBFXという独自トークンを発行、BFX=1ドルで補填し利益が出たら買い戻すというものでした。当初は売却しかできず、大幅な価格割れを起こした後Tetherを発行し2017年4月に全て買い戻されるという怪しい結末で終了しました。

まとめ

・経過年月:8ヶ月

・盗難理由:不明

・債権者:元本割れで回収済み

・盗難された現物:未だハッカーの手中

 

 

3.盗まれた仮想通貨が戻った唯一の例

上記4つのハッキングを見てわかる通り、盗まれた仮想通貨はハッカーの手中または既に売却されており、被害のあったとされる取引所などが損失を補填していることがわかります。ですが過去にほとんどの盗まれた仮想通貨が実際にユーザーの手に戻ってきた事例があるのでご紹介します。

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3-1.The DAOハック

2016年6月イーサリアムベースのプロジェクトThe DAOのコントラクトの脆弱性を狙ったハッカーにより1,200万ETH不正に送金されました。これを機にイーサリアムはハードフォークを行い、イーサリアムクラシック(以下ETCとする)が誕生しました。

イーサリアム(以下ETHとする)は盗まれたETHをユーザーへ返還することができましたが、ETCには盗まれた1,200万ETCが売却されるリスクを負うこととなりました。

 

3-2.White Hat Group

ETHにはWhite Hat Group通称WHGという、善良なハッカー集団が裏でコミュニティを支えており、このWHGは上記で紹介したParityのマルチシグウォレットのバグの時も被害額の2倍を超える83億円を先にドレインして保護し返還を行いました。The DAOハックでの1,200万ETCのうち数回にわけてハッカーのアドレスからドレインを行い700万ETCを救出すことができたWHGはこのETCを元のThe DAO保有者へのコントラクトによる返還を提案。スイスのBity SAのサポートの基、ETHのThe DAOフォーク時にThe DAOを保有していたユーザーへ返還を行いました。

*盗まれた資産の内、約60%の奪還に成功したWHGは各取引所の協力の基、対象ユーザーへ資産を戻すことができた唯一の例となります。

 

資金の流れや詳しい詳細などは下記を参照してくだしさい。

ハックされたイーサリアムクラシックがWHGにより返還される

4.ハッカーが取れる対策

これまでの例を見て、例えパブリックブロックチェーンであり、送金履歴、受取先が全て分かるのであってもCoincheckが盗まれたNEMを取り戻すことが極めて難しいことがわかります。

ではハッカーは取引所へXEMを出金し売却しようとするとどうなるのでしょうか?

4-1.The DAOの例から見る取引所の対応

The DAOハックの際、WHGは「例えETCであってもこの通貨の価値はETHに返還するべきだ」という思想の基、ETCを各取引所へ入金し売却を行って返却を行おうとしました。このトランザクションを監視ししていたコミュニティにより各取引所へ連絡が行き、PoloniexとKrakenで一部は売却されてしまったものの口座を凍結し最終的にユーザーへの資産返還コントラクトへ送る形で解決しました。

この2016年の例を見るとパブリックブロックチェーンの利点を最大限利用できた唯一の例であり、NEMコミュニティとユーザーにより防止できる可能性が高いことがわかります。

 

4-2.KYCの問題

2017年では上場審査の厳しいPoloniexより、なんでも上場するマイナー取引所の人気が高くなり、仮想通貨市場の投機需要が圧倒的に上まりました。対してメジャー取引所は法整備などに伴い、KYC強化による出金制限や認証レベル引き上げなどが必要となりハッカーが気軽に海外取引所で即売却し送金などが難しくなってきています。ですがYobitやBincanceなどKYCの緩いところを使用すれば数百万単位ではあるものの売却が可能となります。

 

4-3.ShapeShiftの問題

更に問題なのはDEX最大手のShapeShiftでしょう。これはThe DAOハッカー通称Dark DAOが使用した手口の一つであり、追跡は困難です。ShapeShiftはアカウント登録や本人認証が不要で、交換した仮想通貨を受け取るアドレスと指定された送金先アドレスを入力し送金するだけで約6分で売却することができます。1度の送金制限は50万円前後となっているもののハッカーにとってはリスク0、更に盗まれたXEMが送金されたと思っていたアドレスは実は無実の購入者の手に気づかぬうちになっているということです。

このShapeShiftはハッカー御用達であり、Dark DAOも一部のETCをテストとしてか売却し、その後の追跡は不可能となっています。また2017年に世間を騒がせたランサムウェアWannaCryのアタッカーもShapeShiftを利用してビットコインを売却し、匿名通貨のMoneroにして送金していました。

ShepeShiftは操作協力するとのことでしたが、残念ながら続報は未だありません。

 

*現時点ではShapeShiftはNEMの取扱を一時停止となっており再開時に使用される可能性が高いでしょう。

4-4.OTC取引の問題(追記)

特に致命的なのはOTC取引の問題でしょう。現在OKExは12月、Huobi Pro は1月にNEMを上場しており、ユーザー間の個人取引を可能とするOTC取引を提供しています。この様な取引所以外の所でOTC取引を行った場合更に追跡は困難となり、無実の人々がマネーロンダリングに関わってしまうことになってしまいます。OTC取引問題が最も厄介であり、今まで盗まれた仮想通貨が戻ってこない大きな理由となっているでしょう。

5.結論と考察

上記の今までの結果と仮想通貨の性質からCoincheckが盗まれた5億XEMを取り戻せる確率はほぼ不可能と言っていいでしょう。The DAO事件に関しては圧倒的な技術力を持ったWHGという存在が強すぎて、イーサリアムファンデーションだけでは対処できなかったためハードフォークを行ったほどだからです。私の知るかぎり今までの大小数多くのハッキング事例で実際に盗まれたコインが戻ったのはThe DAOハックの1件のみです。

5-1.今回盗まれたNEMは全体の6%にも及ぶ

NEMはプレマインなので全体の発行量が約90億XEMとなっており、今回の被害額の5.26億XEMはなんと全体の約6%にも及ぶことになります。Bitfinexのハッキングはビットコイン発行数の全体の約0.75%であったにも関わらず、NEMはCoincheckの記者会見発表後に大幅な価格の回復を見せます。

この原因として考えられるのはNEMのスーパーノードを建てるのには300万XEM(約2.7億円)が必要で、かつCoincheckがアルトコイン全ての取引を停止したためだと考えられます。市場はとても楽観的であると言えるでしょう

5-2.コインチェックの保有資産を簡易に計算

Coincheckは2016年には現在の様に多数のアルトコインを上場しておらず、XMRやNEMなどもなく、BTC, ETH, ETC, DAO, LISK, FCTしかありませんでした。対してコインチェックは2016年から2017年前半にかけ多くのアルトコインを上場し現在は12通貨を取扱しています。このことから簡単にコインチェックの保有資産の計算を行います。

資本金は9,200万であるため各通貨の保有は基本的に1000万円と仮定します。また現在のユーザー数の増加による保有数の変化を最低3倍と見積もってみることにします。

5-2-1.イーサリアム(ETH)

イーサリアムはThe DAOハック時には既に上場しており、当時約1,500円/ETHであったため最低66,666ETHで所有しているとすると約100倍以上になったETHの現在の価格は115,000円前後なので最低でも76億円保有していることになります。また現在の保有最低額は約328億円ではないかと推測されます。

ETCはスプリットしたものをそのまま使えばいいので30分の1の価格であるため10億円となるでしょう。

5-1-2.モネロ (XMR)

モネロを上場したのは2016年9月で、上場時の価格は当時約1,000円/XMRであったため最低1万XMRを所有しているとすると約60倍以上になったXMRの現在の価格は約34,000円で最低でも3.4億円保有していることになります。また現在の保有最低額は約10.2億円ではないかと推測されます。

5-1-3.リップル(XRP)

モネロを上場したのは2016年10月で、上場時の価格は当時約0.88円/XRPであったため最低8,800万XRPを所有しているとすると約400倍以上になったXEPの現在の価格は約132円で最低でも116億円保有していることになります。また現在の保有最低額は約348億円ではないかと推測されます。

 

5-3.倒産はあり得るのか?

コインチェックの12銘柄中4分の1銘柄だけで控えめに見積もっても既に負債である580億円を超えた700億円であること、コインチェックはアルトコインスプレッドが6%あることによる2017年初頭からの莫大な利益から倒産する可能性は限りなく低いと考えられることがわかります。

5-4.ウォレットのセキュリティを十分に確保する余裕はなかったのか?

NEMを上場したのは2017年4月であり、現時点で9ヶ月前となっています。4月には既にアルトコイン相場が高騰しており、ビットコイン高騰も相まって対応には日々追われていたことでしょう。ですが一つのホットウォレットで580億円を管理し、9ヶ月間何も対策を講じることができなかったという点は例え業務が忙しくても、優先順位の上位に持ってくるべきであったと私は考えています。

5-5.XEMのテクニカル分析

日足を確認すると2018年にはいってからの最高価格からの中期的下落トレンドはレジスタンスラインをブレイクすることができず、下降三角を形成。Coincheckのハッキングによりサポートラインをブレイクした形となっています。12月からの上昇トレンドの転換からこの時点でのエントリーは危険であると考えられます。また発行量の6%にも及ぶXEMは売却も難しいですが、もし売られ始めることを考えると現時点では拾わず更に下で拾う方が得策でしょう。仮想通貨全体の下げムードに対し、価格面のでのバッドニュースが出てしまったNEMがブレイクできるとは考えにくいです。

*免責事項:投資は自己責任であり、売買における損失は一切責任を追いません。

Bittrex chart

 

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The post コインチェックはネム($XEM)を取り戻せるのか?過去の事例から行う分析 appeared first on イーサリアム・ジャパン.

引用元: イーサリアム・ジャパン

中国はビットコインを全面禁止?~取引所閉鎖後の経緯とインタビュー~

 

ロイターによると「仮想通貨に対し、個人間の取引からウォレットサービスまで全てを中国国内で禁止する提案が政府にされた」と16日報道。更に数日前にはWSJにより「中国政府よりマイニングを停止する勧告が出された」などと報道があり、韓国政府の取引禁止提案によりくすぶっている所へ追い打ちという形になり、価格下落が続いています。

本項では中国のビットコイン事情に詳しい中国科学院のDr.Eric Zhao氏へインタビューを行い、中国のビットコイン事情とマイナーの最新動向について詳しく記載しました。

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1.取引所閉鎖後の中国事情

2017年中国の取引所はPBoCの規制と北京OKCoinとHuobiはその他大手取引所より約1ヶ月長く営業し、多くのユーザーのために資産整理期間を与え規制当局に与えられ閉鎖。三大取引所の一つで世界最古のビットコイン取引所であったBTCCも同様に、「9月4日のPBoCによるICO規制を考慮し閉鎖」と発表。約7年間に渡るビットコインを含む仮想通貨の取引サービスを提供してきたものの9月30日に閉鎖を行いました。

1-1.ビットコインは中国で違法ではない

9月14日、BTCCは「9月4日にPBoCにより発表されたICO規制を考慮した後全ての取引を停止」と発表。その翌日、OKCoinとHuobiも同様に取引停止を発表しましたが、当初は人民元とビットコインをはじめとする仮想通貨との取引提供を停止するとし、仮想通貨同士の取引は提供するというものでした。

これは中国大手取引所のCHBTCなども同様であり、

「CHBTCはビットコインとその他仮想通貨は中国国内では未だに違法ではないため引き続き仮想通貨同士の取引を提供していきます。」

と発表していました。

最終的にどの取引所も閉鎖となり、10月31日でOKCoin.cnなどの中国向け取引所は閉鎖。

各取引所の対応は下記を参照してください。

中国のビットコイン取引所に対する規制と各取引所の対応まとめ

1-2.10月31日以降中国取引所

OKCoinが閉鎖するのは北京ベースのOKCoin.cnであり、中国国内向けの取引所であって香港ベースであり、先物取引などを提供する海外向けOKCoin.comとOKExなどはそのままサービスの提供を続けます。

BTCCも同様に、USD取引やマイニングプールなどの別サービスを提供しており、”完全な閉鎖”ではなく、中国国内向けの人民元と仮想通貨の取引を提供する取引所を閉鎖するということです

2.中国のビットコイン取引所の水面下の動き

イーサリアム・ジャパンでは9月に

「OKCoinが”ok.cn”というドメイン、CHBTCが”zb.com”というドメインを購入した」

報道しました。

これらの中国取引所の水面下の動きにはどの様な意図があったのでしょうか?

もし中国人がビットコインのマイニングを辞めた際の大きな影響

2-1.三大取引所の今後のサービス

当初私がzb.comへのアクセス確認を行った所、購入主のCHBTCの公式サイトへリダイレクトされましたがzb.comへとアクセスできるようになり、ok.cnへのアクセスはOKExの公式へと飛ばされるようになっています。

2-1-1.ZB.comのローンチ

CHBTCの所有するドメインのZB.comは10月末にCHBTCではなく新規サイトをローンチ。ZB.comとCHBTCのロゴを比較するとほとんど同じであり、デザイナーが同一人物またデザイン案が同様であることが伺えます。

CHBTC LogoCopyright © 2013-2017 – CHBTC.COM All Rights Reserved

このZB.comのサービス開始は2017年11月1日からであり、取引所での提供ペアはUSDTとBTCを主軸にした取引所で人民元の取引は提供していません。

*USDTとは・・・Tether Limitedにより発行されるUSDにペッグする仮想通貨。

2-1-2.Huobiの提供するHuobi.pro

Huobiも同様にHuobi.comではなくシンガポールベースのHuobi.proにサービスを移行しており、海外向け取引所ということもありZB.comと同様のUSDTとBTCを基軸とした取引所となっています。

11月1日にHuobi Proはイーサリアムベースの0xプロジェクト、新たなトークンエコノミーを生み出すエンジンとなるAIRSWAPプロジェクト、オンチェーンのトラストレスな取引を提供可能とするKyberNetworkと共同で非中央集権取引所通称DEXをメインとするプロジェクトの発表を行っています。

つまりこれにより中国三大取引所全てが海外向けの取引を提供していることとなります。

2-2.ZB.comと中信(Citic)の関係に関する噂

中国のコングロマリットのCITICは国務院直属である巨大企業で、中国国内に大きなネットワークと中国政府と太いパイプを持つがとされています。現在中国国内ではこのCITICにより、ZB.comが買収または資金調達を行ったと噂されており、大きな波紋を呼びました。

この噂が本当だとするとZB.comは中国政府から投資または運営されているということとなり、今後中国がビットコインを禁止するという可能性は極めて低くなると考えられていました。規制の基、ビットコインと人民元との取引を再開する可能性は0ではないとも考えることができ、10月末に大幅な現物価格の高騰を引き起こしたと考えられます。

中国のOTC取引の影響による高騰

Copyright © cryptowatch

 

2-3.Huobiによるインサイダーのリーク

Huobiの広報は「P2P取引を提供」すると告知していたためZB.comの話題も相まってOTC取引を提供するという噂は「中国の取引所がビットコイン取引を再開する」という噂へとなりました。

更に30日に報道された中国メディアのJinseの記事によるとHuobiのインサイダーによると

「Huobi ProはP2P OTC取引を提供する」

とリークされており、実際に11月1日に非中央集権プロジェクトを発表しています。

この報道により30日にはUSD最大の取引所Bitfinexでは最大600ドルの高騰を記録

Bitfinex USD

2-4.中国のビットコイン取引所がOTC取引を提供することによる期待

OKCoinは10月26日、突如下記の様な記事を公開しました。

「最も安全で、シンプルで高速な取引を10月31日以降に提供するかもしれない」

と発表した後、即座に記事を消去。これにより中国コミュニティでは11月1日からOTC*1取引を提供するのではないか?と期待が高まり、価格高騰を引き起こしました。対してOKCoinは記事を消去した後、ユーザーからの問い合わせに応える形で下記の様な画像を再掲載しました。

OKEx

Copyright © OKCoin

この広告によると、

「ビットコインをローカルフィアットで即座に売買」

と記載されており、OKExはOTC取引の提供を開始しました。

*1 OTC取引とは・・・元々の意味は店頭取引ですがここでは個人間の取引を指します

2-4-1.OTC取引という中国での抜け穴

上記で説明した様に三大取引所と大手取引所は本社を海外に移すなどとして、ビットコイン取引とマイニングプールの運営を現在も提供しています。ここで注目すべきはOTC取引という点です。

「ビットコインと人民元との取引を提供してはいけない」という規制に対し、OTC取引ではユーザー同士の取引相手を探す場を提供はしますが、その取引が人民元であるかUSDであるかは極端に分かりづらいという情況となります。つまり本社は香港やシンガポールなどの規制当局の影響を受けない所からのOTC提供によりビットコインの売却を可能とすることが潜在的に可能となることで、マイナーは取引所閉鎖後もマイニングを続けることが現在まで可能となっていました。

2-4-2.OKExのOTC取引の実態と絶大な効果

現在OKExはOTC取引を提供していますが、記事を消去したりなどし規制当局の動向を伺いつつOTC取引を提供しているため、取引自体はとても制限されたものとなっています。利用者によると

「10BTCをデポジットしたとして、どの様に取引をしてビットコインを増やしたとしても10BTC以上の引出しをすることができない」

というものとなっています。

ですがこのOTC取引、実は大きな可能性を秘めており、Huobi Proの提供するOTC取引はAlipayやWechat Payなどの中国で絶大な人気を誇る決済サービスを使用できます。つまりビットコインやイーサリアムを売買するのに現金ではなく、フィンテックの進んでいる中国で最も人気な2大サービスを使用できることから、中国国内では個人間取引が盛んでした。

3.中国はマイニングを禁止するのか?

多くのマイナーの友人を持つEric氏によると

「規制当局が今回の様な行動に踏み切ったのは、仮想通貨と人民元との取引を禁止したにも関わらず表向きに買えないにしてもマイニングをすることで簡単にビットコインなどを手に入れることが出来るからです。」

と述べており、大いに理解できることだとしもし中国政府が本当にビットコインをはじめとする仮想通貨を禁止したいならば、「購入する代わりにマイニングをする」という手段を禁止することが最善であることがわかります。

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3-1.中国政府は簡単にマイニングを禁止できない

中国の個人マイナーの多くはASICを購入するためにお金を借りますが、ビットコインネットワークのハッシュパワーを数%占めることができる独自のマイニングファームを持つ大口マイナーはEric氏によると「自信の広大な土地を持ち、水力発電などの独自の電力供給網を持つ」ため、政府は簡単にマイニングを禁止できないと述べて、更に

「政府はマイニングを禁止したいものの、現状の法律で直接マイニングを禁止できないため、”マイニング停止命令”の様な通知は特に気にしていない。」

としていますが、この様な政策は長期的に影響を与えるだろうとしています。

3-2.中国政府の戦略

2017年11月、中国政府は水力発電所が発電した電気を電力施設網へ接続せず、マイニングへ使用していた電気を「発電した電気を無駄に消費している」とし、マイナーへの電力供給停止命令を行いました。ですがこれはあくまで発電所が電力供給網電気を経由し売ることなく”直接マイナーへ供給”が問題でした。

 

この様に中国政府は直接のマイニングへの介入を行えないため、マイニングファームに対して間接的な介入を行ってきました。今回WSJの報道した問題はマイニングファームに対する停止勧告であり、Eric氏によると

「中国政府は全てを自信で用意することができる大口マイナーには簡単に介入ができないため、この様な態度でマイニングに対しても寛容ではないことを示しています。またマイナーが”税金などを正しく収めているかどうか”、”自然を害していないか”などの粗探しを行っておりマイナーは今後も厳しい罰金を請求または閉鎖へと追い込まれることもあるでしょう」

実際ビットコインキャッシュのフォークを支持した中国のマイニング企業ViaBTCは提供していたクラウドマイング契約に対し、「マイナーは現在閉鎖の危機に面しているため、クラウドマイニングの管理手数料を既存の6%から約8倍の50%へ引き上げ」と発表。実際のマイナーの行動は不明ですが、影響が出ています。

3-3.中国マイナーのプランB

中国マイナーは閉鎖により簡単にマイニングした仮想通貨を売却し、設備費用や電気代へと当てることができなくなっており、例え中国でマイニングが禁止されてないとしても生活のために次の行動を考える必要があるとEric氏は語ります。

世界のビットコインASICの70%のシェアを誇るBitmainはスイス支社を発表後、カナダへのマイニング事業展開を考えており、実際に電力会社に交渉をしているとの報道がありました。実際BitmainのASICに使用されているチップのデザイナーチームは米国であり、Eric氏によると

「その他多くの大口マイナー達は海外でのマイニングを視野に入れて行動を開始しており、北アメリカや南アジアなどを検討しています。」

Blockstreamの現CSOで、元中国三大取引所のBTCC 元COOとして仮想通貨業界で知られているSamson Mow氏はカナダ出身で、イーサリアムジャパンのインタビューに対してEric氏と同様に「多くの企業がカナダへの移動を検討している」と述べています。

またEric氏によるとビットコインネットワークのハッシュレートを10%以上も仕入れるマイニング最大手のBTC.TOPもカナダへの移動を検討しており、ロイターの報道によると「企業と水力発電所であるHydro Quebeは30を超えるマイニング企業への潜在的な電力供給ラインとしての可能性」を説明しています。

4.中国は完全な仮想通貨禁止を行うのか?

16日、ロイターによるとウォレットやOTCを含む仮想通貨サービスの全面禁止をPBoC(中国の中央銀行)の副総裁Pan氏が政府へ促したと報道。この情報元は先週行われたミーティングで使用されたメモであるとロイターは記載しており、例えこれが本当だとしても現時点では検討段階であることがわかります。

2017年に中国国内の取引所をへ#イーサリアム #Ethereum #仮想通貨 #ブロックチェーン $ETH #フィンテック #マイニングした北京行政とCSPC(中国証券監督管理委員会)ではなくPBoCが実際に行動を起こしているとすれば、数ヶ月から数年にかけての規制交付となるため今後も警戒が必要となるでしょう。

5.結論と考察

中国三大取引所だったOKCoinやHuobiがOTC取引を提供していることにより、現在も中国マイナーがマイニングを継続できていることがわかりました。ですが、今回のロイターの報道が本当であり、PBoCがビットコインをはじめとする仮想通貨を全面禁止するという可能性を示唆する報道は中国国内でのOTC取引も影響を受けるため、中国の大口マイナーに対し多大な影響を与えることになるでしょう。現時点でビットコインのハッレートを確認すると大きく動いてはいないことがわかります。

ビットコインハッシュレート

Copyright © bitcoincharts.com

5-1.マイナーとマイニングプールの混同

ここで重要なのは、マイニング停止の影響を受けるのは中国国内の大口マイナーであり、マイニングプールは影響を受けません。マイニングプールはスタートアップ企業により提供される多くのマイナーが携わり、プール全体でマイニングを行うもので、例えばBitmainの運営するAntpoolを構成しているマイナーは世界中に存在し、誰しもが自由にマイニングプールに携わることができます。

よくメディアや一部の記事によって「ビットコインのマイニングは中国に70%以上支配されている」などの内容を見かけますが、ネットワークのハッシュパワーと中国企業のマイニングプールを単純に合計しているだけであり、正確ではありません。そのため一時的な影響はあるものの、ビットコインネットワークそのものが窮地に陥るということにはならないでしょう。

Antpoolを例に取ると実際はマイナーの住む国ごとに分布しており、中国のマイナーのみではありません。(数字は例であり直接的な数字は関係ありません)
マイニングプール

Copyright © blockchain.info

5-2.中国国内でのマイニングファーム

中国は水力発電大国であり、マイニングファームも川やダムの近くへ建設しているものが複数あります。では電気代の供給を絶たれることを懸念し、新しく川沿いに水力発電を目的としてマイニングファームを建設するとしてもEric氏によると、「土地代の高騰により、川沿いの土地を購入することは難しい」とイーサリアムジャパンのインタビューに答えており、現在の限られた大口マイナーしか中国では生き残れないことがわかります。

 

中国の水力発電と電気料金の関係性については下記記事にて詳しく解説してあるので参照してください。

中国のビットコイン規制によりマイナーがASICとGPUを売却開始

5-3.もし中国からマイナーが移った場合の影響

香港を除く中国国内、特に北京に多く存在した取引所は全て閉鎖し、引き続きサービスを提供するためシンガポールや香港などにオフィスを移転しています。取引所の移転は消費者が変わるためマイナーの件を除くと特に問題はありませんが、マイナーがカナダに移る場合には大きな問題となります。

中国国内で使用していたASICは既に初期投資分を回収しているため、輸送費用の方が安くつくためそのまま利用することとなり、その他移転費用がかかることとなります。つまり中国国内でマイニングしている限りは必要最低限の人件費や電気代、管理費で済むものの、余計なコストがかかる分、マイニングした現物を売るインセンティブが強くなるため、普段以上のビットコインの売り圧が発生することとなります。ハッシュパワーの一時的下落とそれに伴う送金遅延、更には移転したマイナーの売り圧により中長期にかけてマイナーの売り圧に影響されていくことになるでしょう。2018年はライトニングネットワークやRSKなどのサイドチェーンなどの多くの技術的革新を控えており、価格が高騰するためにはこのマイナーの売り圧を超える必要があるため、予測が難しいでしょう。

ライトニングとRSKについては下記を参照してください

ビットコイン開発の今後とCboe, CMEビットコイン先物の詳細

5-4.ビットコインのテクニカル分析

Copyright © CryptoWatch

USDの日足を確認すると12,600ドルのサポートラインを境に反発していたものの、CMEとCboeの影響が弱かったのと日本での出来高が収束した影響か、弱々しく下降三角を形成していたところbitFlyerのロスカット連続による4回のサーキットブレイカー発動により大幅に下落を記録しました。ですがbitFlyer FXはデリバティブであり、本来価格影響を与えるものではないためこの下げは一時的であると見られます。このままの出来高収束と、2017年のビットコインの値動きが2016年と近似していたことから、2月も去年と同様に大きな下落を記録するファンダメンタルによる影響が嫌でも頭をよぎります。この下落トレンドを抜け出すには2月末まで時間がかかるのではないかと考えられます。

5-4-1.ビットコインドミナンス

ビットコインドミナンス

Copyright © CoinMarketCap

ビットコインのドミナンスを確認すると少し回復して35.4%となり、イーサリアムは今回の下落の煽りを少し受けたものの、リップルと対照的に増え18.41%と上昇しています。

5-4-2.仮想通貨全体の時価総額

2017年5月から安定的に時価総額を伸ばし、11月からはATH(常に高騰)を記録していたものの、2017年末と同額まで戻っていることがわかります。イーサリアムのBTC建ては大きく下落してないのに対しフィアット建てでの下落はフィアット建てでの資金が流れていることを示し、仮想通貨全体の一時的な調整となっています。

 

仮想通貨時価総額

Copyright © CoinMarketCap

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引用元: イーサリアム・ジャパン

イーサリアムのPoS”Casper”が解決するPoWの問題

イーサリアムは誰もがEther($ETH)を使用することにより、イーサリアムネットワークの演算力を使用することができ、セキュリティの堅牢なワールドコンピュータを目指しています。この目的には現在のブロックチェーンのセキュリティを保つために大量の電気消費を必要とするProof of Work(以下PoW)からProof of Stake(以下PoSとする)通称Casperへと移行する予定となっており、長年に渡り開発が続けられています。

2018年1月1日、3年を超える開発と調査期間を経てついにCasperのテストネットのα版がリリースされました。本項ではCasperの大まかな概要とイーサリアムネットワークの目指すPoSについて詳しく紹介したものとなります

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1.Casper(キャスパー)とは?

イーサリアムは現在EthashというASICによるマイニング中央集権化を防ぐPoWアルゴリズムによりマイニングされています。このEthashは現在のバージョンであるメトロポリスの1つ前のバージョン”ホームステッド”から実装され、”フロンティア”で使用されていたDagger Hashimotoを改良したものとなっています。CasperはこれまでのPoWコンセンサスアルゴリズムとは違い”Validator”によりブロックが生成され、ビザンチンフォールトトレラント性をベースとしたPoSです。つまり既存のGPUを使用したマイニングリグでの採掘は最終的にできなくなるということです。

マイニングリグの基礎知識については下記を参照してください。

イーサリアムのマイニングリグを正しく構築する

1-1.Proof of StakeのStakeとは?

Stakeとは日本の語では通常”掛け金”や”利害関係”という意味となりますが、ここでのStakeとはイーサリアムネットワークに携わるValidatorが保有する”ETHの資産”のことを示します。つまりEthashではマイナーが自信の保有するマイニングリグの演算力を提供することによりブロックを生成し、ハッシュパワー(演算力)の高いマイナーほどブロック生成を多く行えマイニング報酬を得ていましたが、CasperではValidatorの保有するETHの量に応じてハッシュパワーの変わりにブロック生成を決めます。

1-2.BFTベースのTendermint

CasperではビザンチンフォールトトレラントベースのPoSをベースにし、2014年に発表された「マイニングなしのコンセンサス」というTendermintを改良したものとなっています。PoWのマイニングは安全なコンセンサスを得るために大量の電気を消費し、セキュリティの問題のためブロック生成時間を短くするのは用意ではなく、セキュリティを定量化するのが難しいとされています。

ですがこのPoSにも同様にNothing at Stakeという問題がありますが、Casperはこれらの問題を解決し、より安全なセキュリティとインセンティブを与えています。

 

2.ビザンチン将軍問題とは?

非中央集権でかつセキュリティの高いブロックチェーンを語るにあたってビザンチン将軍問題は必ず知って置かなければならない重要な問題です。ビザンチン将軍問題とは1つの目的に対し、複数の人物の合意を得なければ成功しない事象に全員が賛成しなければならない際に発生する問題です。ブロックチェーンのコンセンサスアルゴリズムの一つであるPoWはこのビザンチン将軍問題を解決し例え悪意を持った裏切り者がネットワークに携わってたとしても正常に合意を得れ、ネットワークを稼働することができると一般的には言われています。

 

2-1.ビザンチンノード

名前の元となったのは東ローマ帝国のビザンチン帝国の将軍が都市を攻撃する際に合意を得るときの問題です。下記図1の様に5人の将軍が都市を攻撃するために各方面から包囲しているとし、お互いの連絡は使者を使い手紙で連絡をとりあってるとします。またここで5人のうち1人はビザンチンノードと言われる悪意をもった”裏切り者”がいるとします。ビザンチン将軍問題

図1.ビザンチン将軍問題

ここでは5人の将軍が各自攻撃をするという合意がとれ、全方面から攻撃を仕掛けることにより都市を陥落し、目的を達成できるとします。2人の将軍が攻撃を行うとし、2人の将軍が撤退するとした際、残りの1人が過半数である意思決定となるためもし裏切り者(ビザンチンノード)であった場合、この攻撃を失敗させることを望むため図2の様に攻撃を行いたい将軍には「攻撃票」を、撤退したい将軍には「撤退票」を送ることが可能です。

ビザンチンノード

図2.裏切り者(ビザンチンノード)

2-1-1.ビザンチン故障(ビザンチン障害)

裏切り者が上記図2.の様に合意形成を妨害した場合、下記図3.の様に攻撃票を投じた将軍は可半数合意され5人とも攻撃を行うと判断し攻撃を開始します。対して撤退票を投じた将軍は撤退の合意が得られたとし、撤退を行うため攻撃は行いません。そして裏切り者は逃亡することとなり、結果包囲網は機能せず攻撃が失敗することとなるでしょう。この様な合意形成の失敗をビザンチン故障といいます

ビザンチン将軍問題の結果

図3.合意形成の失敗

2-1-2.ビザンチン・フォールトトレラント性(BFT)

またこの合意形成を行う際に投じる票が改ざんされる可能性もあり、この攻撃を成功させるための合意形成は完璧とは言えません。PoWではマイナー(将軍)にブロック報酬となるイーサリアムを付与することにより、合意形成を誠実に行うインセンティブを与えることによりこのビザンチン将軍問題を解決していると言えます。またマイナーにビザンチンノードがいたとしも、分散しており大多数のマイナーは経済合理性に従うため正常にネットワークが稼働することができます。これをビザンチン・フォールトトレラント性があるといいます。

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2-2.PoWの問題点~悪意あるマイナーの協力~

PoWでは事実上ビザンチンフォールトトレラント性(以下BFTとする)があると言われていますがもしマイナーがもし協力し、悪意を持ってネットワーク攻撃を仕掛ける場合にはBFTがあると言えないでしょう。この場合はマイナーを信用する必要がありますが、実際に2016年と2017年には下記のような一部の悪意のあるマイナーによるネットワーク攻撃が計画または行なわれました。

1.51%攻撃を組んで仕掛けトランザクションを意図的にコントロールする(*2016年イーサリアムクラシックに対して51%攻撃が計画される)

2.ニ週間の難易度調整までにハッシュパワーをネットワークに集めて難易度を上昇させ、意図的にブロック生成時間を遅延させる

(*2017年ビットコインの難易度調整前にハッシュパワーBTCへ集め、難易度が上昇した後ビットコインキャッシュへ移る)

3.トランザクションスパムによるDDoS攻撃

(*2016年低いガスコストを利用したスパム攻撃をイーサリアムが受け、ハードフォークを行う)

2番めのネットワーク攻撃は記憶に新しいと思いますが、この攻撃により「ビットコインは死ぬ」という様な悪質なFUD(偽情報戦術)を一部のユーザーが流したりし、価格コントロールを目論みました。

PoWではこの様なネットワーク攻撃が行なわれないことが前提となっていますが、ブロックチェーンの歴史上ネットワークの危機となる攻撃が実際に計画されていることから、これらの点を改善する必要があるでしょう。

2-3.PoSの問題点~Nothing at Stake~

“Nothing at Stake”とは、PoSにおける代表的な問題であり、直訳すると”何も賭けていない”となります。PoWではマイナーが採掘するためにマイニングリグを作成し、その初期コストを回収するために大量の電気代を使用しマイニングを行い、もし無効なブロックをマイニングしてしまった場合にはそのブロック報酬のイーサリアムは無効なイーサリアムとなるため、正しいチェーンをマイニングするインセンティブがあります。演算するのに電気代は常に必要であり、例えリグの初期コストを回収したとしても演算リソースを無効なチェーンに割くインセンティブは殆ど無いといえます。

Nothing at Stake

図1.Nothing at Stake問題

対してPoSはブロック生成に必要なのはETHであり、大量のETHを所有する悪意のある攻撃者は演算リソースを割く必要がなく攻撃が可能であるためこの問題を解決する必要があります。Casperでは既存のPoSの問題を解決するため

「Validatorがルールに違反した場合、保有するETHをペナルティとし没収するつまり

ETHマイニング報酬 < 攻撃時の損失ETH

とすることでより強いセキュリティインセンティブを生む」

ホワイトペーパーでは記載しており、このNothing at Stake問題を解決でき、PoWよりも安全であるとしています。

3.Casperのテストネットアルファ版リリース

イーサリアムにはスマートコントラクトを実行し、実利用を行うメインネットワーク、テストを行うためロプステン(Ropsten)、コヴァン(Kovan)、リンクビー(Rinkeby)という”テストネット”が存在します。

ハードフォークを行いアルゴリズムを変更した際、テストを行なわずに実装してしまうと予期せぬエラーやバグ、脆弱性により数百億円の損害を出したり、プロトコルの凍結を引き起こす可能性があります。そのためテストネットで十分にテストし、安全に実装を行うためにもテストネットは開発を行うためにとても重要な役割を果たします。また、イーサリアムをベースに開発を行う際、メインネットでテストを行うとコントラクトのデプロイ費用などで大量のETHを消費することとなり、十分なテストを行うことができないため、テストネットコインを使用することにより安価にテストを行うことができます。つまりCasperのテストネットがリリースされたということはPoSへの移行準備の大きな第一歩であるということです。

3-1.アルファCasper FFGテストネットの概要

Casperには全く別のアプローチを行ったイーサリアムの開発者Vitalik Buterin氏のCasper The Friendly Finality Fadget通称FFGと、Vlad Zamfir氏のCasper Correct by Construction通称CBCという2つのCasperが存在します。今回のこのテストネットのコンセンサスアルゴリズムはVitalik氏のFFGとなっており、約3年という開発の歳月をかけて初となるValidatorのテスト、送金テストが可能となりました。リリリースされた詳細によるとリリースされたのはα版であり、

「メインネットへの実装には更にいくつかのステップが必要となる」

と述べています。

またα版であるため、既存のロプステンのようなイーサリアムクライアントのGethとParityによって運用されているテストネットと同様のパフォーマンスはまだないとしています。

3-2.Vaidatorのテスト

CasperのValidatorは既存のイーサリアムマイニングとは全く違い、十分なテストネットのETHを保有する必要があります。テストネットではCPUマイニングが未だに有効であり、多くのリソースを割かなくてもマイニングが可能ですが、ロプステンにある様なFaucet(無料でテストネットコインが貰える)は現在ありません。Faucetは近いうちに実装されますが上記の様に完全なα版となっています

4.Casperの結論と考察

本項ではCasperのプロトコルには深く触れず、PoWとPoSの概要について説明を行いました。イーサリアムは今後PoSに移行するに当り、現在のブロック生成時間の速さ(約15秒)と電気代に起因するマイナーの売り圧ではなくValidatorがブロック生成報酬を得るためにイーサリアムの現物を保持するインセンティブが高くなり送金需要による高騰と相まって価格を維持、高騰の潜在的な原因となるでしょう。

4-1.イーサリアムのアルゴリズム移行ロードマップ

イーサリアムがPoWからPoSへ移行するためのプランは下記の様になっています

1.Ethash

(現在のイーサリアムPoW)

2.PoW上に展開するPoS

(PoWでブロックをマイニング後にPoSでファイナライズ)

3.PoSとPoWのハイブリッド

(マイニング報酬を減少しValidatorの報酬を増やす)

4.Casper

また10月に行われたコアデベロッパーミーティングではメトロポリスPt.2となるコンスタンティノープルでCasperをテスト実装し試す可能性を示唆しています。

4-2.イーサリアムがCasperを実装した際の影響

上記で説明したビザンチン将軍問題を解決できるとされるPoWにも仮想通貨の歴史上ネットワーク攻撃を受けており、完全なBFTを持つとはいえないことがわかります。

CasperがNothing at Stake問題を解決し、世界で初となるセキュリティの高いPoSを実現することにより、PoWの必要とする大量の電気代問題を解決することにより、イーサリアム以外のプロジェクトにはなし得ないワールドコンピュータを完成させることができるでしょう。またVitalik氏の「セキュリティが通貨に価値を生む」という考えを証明、多くのアルトコインプロジェクトにPoSの可用性と信性を示しブロックチェーン業界に衝撃を与えるでしょう。

イーサリアムの目指しているワールドコンピュータが可能とする既存のインターネットセキュリティ問題解決については下記記事を参照してください。

なぜイーサリアムで他のアルトコインではないのか?有望な今後と将来性

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引用元: イーサリアム・ジャパン